Advantage.01
離婚について考えたら、離婚の法制度を知る必要があります。
結婚も離婚も、民法の制度ですから、離婚原因、どうしたら離婚できるかは民法にきちんと書かれています。それを実現するのは、協議や調停であったり、弁護士の交渉ですが、離婚について漠然と考えるだけでは次の一歩は進めません。離婚したいなら、離婚原因があるのか正確に知らないといけませんし、離婚したくないなら相手に離婚原因がないことを確認しないといけません。それをきちんとご説明します。
Cause of Divorce
夫婦であれば離婚したいと思うことは、誰でもあることかもしれません。でも、本気で離婚したいという場合、どうやったら離婚できるのか?意外と皆さん知りません。実は離婚できる理由は離婚原因といいますが、これがないと裁判で離婚することができません。離婚したくない方、離婚したくないのに離婚請求されている方、離婚原因についてきちんと理解しておくことは次の一歩に必要なことなので、こちらでご説明します。
Advantage.01
結婚も離婚も、民法の制度ですから、離婚原因、どうしたら離婚できるかは民法にきちんと書かれています。それを実現するのは、協議や調停であったり、弁護士の交渉ですが、離婚について漠然と考えるだけでは次の一歩は進めません。離婚したいなら、離婚原因があるのか正確に知らないといけませんし、離婚したくないなら相手に離婚原因がないことを確認しないといけません。それをきちんとご説明します。
Advantage.02
離婚についての法制度を正確に知って、それが自分にとって不利であるとき、次はどうしたらよいでしょうか?過去は変えられません。でも未来は変えられます。離婚したいのに離婚原因がはっきりしなくて離婚ができないかもしれない方には、これからの行動で離婚原因が認められるようにアドバイスします。離婚したくない方には、離婚原因が認められないようにするにはどうしたらよいか、アドバイスします。
Promise.01
ご希望に沿った
アドバイス
Promise.02
不利なことも
明確に説明
Promise.03
離婚原因の
実務を説明
Promise.04
次のステップを
サポート
Promise.05
お子さんの
気持ちも大事に
目次
離婚原因は、民法770条1項に規定されていますが、それは下記の通り5種類あります。
1号、2号は一方に問題のある行為があった場合
3号、4号は夫婦関係が破綻した場合です。
5号は、具体的ではないですが、夫婦の破綻が認められる場合を抽象的に定めています。
また、裁判所は、1から4号の事実が認められても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚請求を棄却できますので、裁判官にはかなりの裁量があります。
このように、裁判官に裁量があるので、日本法の離婚では破綻主義は完全には採用されていないといえるでしょう。
もっとも、裁判官が裁量によって離婚請求を棄却することは、現在ではほとんどみられません。つまり、夫婦が破綻しているという場合には、ほぼ離婚請求は認められるといえるでしょう。
夫婦が破綻しているとき離婚を認める制度を破綻主義と言いますが、日本法では破綻主義の例外があります。
判例は、有責配偶者からの離婚請求はたとえ婚姻が破綻していても信義則違反であるとして、棄却することがあるのです。
なぜ、そのような例外があるかというと、有責配偶者からの事案の判例はこのように判断しています。
つまり、離婚は社会的・法的秩序としての婚姻を終わらせるものなので、離婚請求は正義・公平の観念、 社会的倫理観に反するものであってはならなく、この意味で離婚請求は信義誠実の原則に照らしても容認されうるものでなければならないと・・・。
要するに、あまりに正義に反する人からの離婚請求は認めませんということです。
離婚請求の本訴に被告から離婚請求の反訴が提起されている場合には、離婚の点において双方の意思は一致していますので、婚姻の継続が望めないことは明らかとなりますので、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由があるものと認められて、本訴と反訴ともに離婚請求が認容されます。
しかし、慰謝料請求かなされている場合、離婚原因についての審理が必要なので、誰の行為が原因で破綻したのかについて、審理がされます。
もっとも、もしも被告として離婚が認容される場合には、財産分与を請求したいとか、慰謝料請求をしておきたいという場合もありますね。そういうときには、予備的財産分与請求の申立、予備的慰謝料請求(予備的反訴)をすることができます。
法律論では、離婚訴訟において訴訟物は何かという問題があります。簡単に言うと、訴訟物とは訴訟において審議の対象になる事象のことです。
不貞による離婚、遺棄による離婚など、離婚の理由が複数ある時、訴訟物はひとつなのかふたつなのかが問題になるのです。判例では、770条の1号から5号のそれぞれが別々の訴訟物を考えているようです。
実際には、原告の弁護士は、1から4号のいずれかを主張して、予備的に5号についての主張をしているのが通常です。いろいろな過去の事実があって、婚姻の継続が難しくなったということを主張し、それで離婚が認められれば原告の勝訴になるからです。
つまり、夫の不貞が原因で破綻したので離婚を請求するが、もしも不貞が立証できないときに備えて、性格の不一致と長期の別居により婚姻関係は破綻しているので5号による離婚が認められるはずであるという形で、訴状を用意します。離婚原因として何を主張するか明らかにしないと、裁判官に釈明を求められます。
人事訴訟法25条1項では、「人事訴訟の判決が確定した後は、原告は当該人事訴訟において請求又は請求の原因を変更することにより主張することができた事実に基づいて、同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない」として、別訴を禁止しています。
つまり、悪意の遺棄を原因とした離婚訴訟で敗訴してから、今度は不貞行為を理由に離婚訴訟を提起できないのです。
では、いつまでも離婚できないのでしょうか?
そうではありません。
最初の判決確定後に生じたあらたな事実を基礎に再度離婚訴訟の提起ができます。
通常は、時間が経過して別居期間が長期化し、その間夫婦の間で何もコミュニュケーションがなかったような場合、再度の離婚訴訟では破綻が認められて勝つことができることがしばしばあります。
また、判決確定後に相手配偶者が、いきなり窓をこじあけて入ってきたような暴力的行為があった場合、殺してやるといった場合などには、破綻が認められることもあります。
このような二回目の訴訟では、判決確定後の事実をその前の事実を併せて検討したうえで、夫婦関係が破綻しているかが判断されます。
性交渉の立証はしかし、簡単ではありません。そういうことがあったと推測させる手紙とか メール、写真、宿泊したホテルのレシートなどが証拠になりますが、もっともよくつかわれるのは探偵の調査結果報告書でしょう。
性交渉がなくても、親密な交際があれば破綻を起こした行為として、有責行為とされることもあります。
よく問題になるのは、夫が性風俗店に行っていてそれが妻はいやだという場合です。夫が風俗店を利用して行った性行為は妻として強い不快感を示すのが通常ですので、離婚原因となります。
同性愛については、5号を適用して離婚を認容した判例があります(名古屋地裁 昭和47年2月29日)。
いったん宥恕した以上、その不貞を理由に配偶者が有責であるというのは信義則上許されないとした判例もあります(東京高裁 平成4年12月24日)
不貞の行為者が、770条2号を用いて棄却を求めた事案があります。身体障害者となり自活能力を失ったことを理由に離婚請求の棄却を求めたのですが、裁判所は夫の態度が身勝手であるとして、離婚を認めています(大阪地裁 昭和62年11月16日)。
2号によって離婚できない事案というのはほとんどないというのが、今の判例の傾向でしょう。
もっとも多くの別居する夫婦にはお互いの言い分があり悪意の遺棄による離婚が認められることは少ないです。一定期間の別居があれば5号による離婚原因が認められるため、5号による離婚認容が多いといえます。
この離婚の場合には、2号の請求棄却がなされる可能性があります。
精神病に罹患して後見開始の要件を満たす状況にあって、後見開始決定を得ていない配偶者に対して離婚訴訟を提起する場合には、民事訴訟法35条による特別代理人の選任の方法が使えません。
よって、まず、後見開始決定を得てから成年後見人または成年後見監督人を被告として訴えを提起すべきことになり、手続きが面倒です。
強度の精神病として離婚原因になるかどうかは、夫婦間の精神的共同が完全に失われていることまでは必要ではありませんが、その病気の程度が婚姻の本質ともいうべき夫婦の相互協力義務、他方の配偶者の精神的生活に対する協力義務を十分に果たし得ない程度に達しているのかによって判断するという規範を示した判例があります(長崎地裁 昭和42年9月5日)。
しかし、そういう場合でも別居が長期にわたるような場合、破綻が認められて5号で離婚が認容される傾向があります。
「民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて、直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。」としています。
この判例は、配偶者である精神病者の生活等について具体的方途を講じなければ、たとえ不治の精神病にかかっている配偶者とも離婚できないことになるとして、批判されていました。この「具体的方途」とは、現実に看護を担当すべき者がいるとか、療養・生活費用の捻出が可能であるというようなことでしょうが、現実にはなかなか準備できないでしょう。
しかし、昭和45年の最高裁判例では、原告が自己の資力で可能な限り支払うという意思を表明しているだけで「方途の見込み」があるとして離婚を認容したので具体的方途があるというのは現実にはさほど困難ではなくなったようです。
もっとも、資力がある夫が、精神病の妻に暴力を振るうなどして事案では、いたわりのない夫については、離婚請求を棄却しているものもあります(東京地裁 昭和54年10月26日)。
判例を見ると配偶者が精神的な病気である場合で同居が困難で離婚したいという場合には、別居をしつつも介護・療養などの方策・費用の手当てについては最善をつくして誠意を尽くしているような場合には、5号での認容は可能のようです。
しかし、何が「破綻」なのかは規範的要件事実(評価的要件事実)であって、婚姻関係の破綻を示すいろいろな具体的な事実を総合評価して「破綻している」という結論に裁判所がいたるもので、一般的な「破綻」よりも厳しいと考えたほうがよいでしょう。
破綻したといえるのは、喧嘩などの不和を示す事実です。もっとも、別居しつつも時々家族旅行に行く場合もあり、別居したらそのまま破綻が認められるというものでもありません。
また、何年別居していれは破綻が認められるという明瞭な基準もないのが悩ましいです。逆に別居していないのに破綻が認められる場合もあります。
夫婦の意思、言動、別居期間の長さ、会話や交流の有無、口論・けんかの有無と程度、性的関係の有無や婚姻期間、円満であった期間の長さや不和の原因、信頼関係の破壊の程度、未成熟子の有無と年齢、子との関係、子の離婚についての意見、訴訟態度などによって総合的に判断されます。
夫が妻を刑事告訴したことは、配偶者として認めないことなので妻からの離婚請求を認容した事例があります。
妻の宗教のことで十数年にわたり夫婦間の争いが続いていた事案で、被告がいったんは原告との離婚を了承したこともあった経緯が事情とされているものがあります(東京地裁 平成9年10月23日)。
妻が夫名義の不動産に処分禁止の仮処分をかけたことなども破綻の事情になりえます。
これは妻が病気などの場合に問題になります。
しかし、4号の「強度の」精神病とまではいえない場合、5号によって破綻が認定されて離婚が認容されることは可能です。
実際の裁判では、離婚を求める原告に病者に対する誠意ある行動があるかどうかや、離婚を求められている病者である被告に有責性があるかどうかを検討します。
原告が夫で有責性はなくこれま看病をするなどの誠意を尽くしてきたものの、もはやそれ以上の負担を原告に強いることが酷であるようなケースであれば、離婚は認められるでしょう。
被告の病気について原告がこれまで誠意がなかったり、妻が日常生活に支障があるのに夫は入院中の妻を放置したような場合には離婚諧求が棄却される可能性があります。
名古屋高裁 平成3年5月30日の判例は、病気の妻を思いやることなく子との交流も拒んでいた夫の離婚請求が認められませんでした。妻がうつ病であるような場合も、離婚請求が認められないこともあります。
統合失調症に罹患していて、粗暴で家庭的でない言動をした妻に、破綻の原因があるということから離婚を認めた判例があります(東京高裁 昭和57年5月31日)。
精神病による生活態度などから破綻が起きたと言えれば、離婚請求が認められる可能性が高いといえるのではないでしょうか。
もっとも、離婚すると妻が困窮するような場合には、離婚は、別居期間が相当長くても認められない可能性もあります。そのような場合には、破綻していないという判断になることもありえます。東京高裁 昭和60年6月26日判決は、原告にさらなる努力を求めており、破綻していないとしています。
夫は42歳で、妻が59歳の事案ですが妻がアルツハイマー病とパーキンソン病に罹患し、失禁したり自宅がわからなくなったりして、寝たきりとなっていた事案です。
夫のことを認識できず、言語は不明瞭で、日常会話も困難となっていました。夫は、家事や看護をしてきたものの、退職して田舎に戻って、妻が特別蓑詭老人ホームに入所していたことから、離婚後は全額公費で賄えることがわかっていました。
夫が再婚を考えるようになって、妻の後見監督人を被告として離婚請求した事案ですが、今後増えそうな事案ですね。
裁判所は、妻が長期間に亘り夫婦間の協力義務を全く果せないでいることなどによって破綻していることが明らかとしました。離婚後の妻の生活が困らないということも考慮されていますし、これまで長期にわたる夫の誠実な看護も評価された事案です。
もっとも、夫婦の協力義務が果たせないというのは高齢になればいつか起きることであり、これを理由にすることは問題があるかもしれません。
一方重病で他方の人生に過度の負担を与えているような場合には、何を理由に「破綻」とするかは難しい問題です。これ以上の負担を負わせるのは酷であるというのが本音なのかもしれません。
名古屋高裁 平成20年4月8日判決は、妻がうつ病による抑うつ状態と診断されていた事案でした。
その原因は夫の母や夫との関係にあるという事案で、夫は話合いをしたものの妻から夫が会社を退職して関東方面に転居するという夫にとって非現実的な提案がなされ、妻を信じる気持ちがなくなり、事実上の別居から4か月後に離婚調停を申し立てたというものです。
「妻と夫との婚姻関係は破綻に瀕しているとはいえるが、妻は現在も婚姻関係を修復したいという気持ちがあり、同居期間中には妻に対して大きな不満を抱くこともなく円満に婚姻生活を営めたので、妻のうつ病か治癒したり妻の病状についての夫の理解が深まれば関係が改善することも期待できる」として、離婚を認めていません。
うつ病の一方配偶者が復縁を願い、復縁の努力をしないで離婚調停を早く申し立てたことから夫の請求が認められていない事案です。
夫が病気への対応をして努力をしたりしてれば結果は変わったかもしれません。子との面会もせず遺棄したようになっていたことも、夫に不利な判断になっています。
うつ病の妻がそれによって思いやりのない行動をとったりしている場合には、それをもって破綻原因とされることもありますので、破綻原因の立証の方法でも結果がわかれそうです。
離婚請求を認めたものもたくさんありますが、認めていないものもあります。
棄却例はまだ破綻までいっていないという判断のもので、宗教活動が家庭生活へどのような問題を起こしたのか、別居期間や子の年齢など検討して、関係の修復ができるかという観点での判断がされます。
宗教はいずれにとっても重要であるので、夫だけに寛容であれというのもおかしなことであり、宗教活動による有責性を認めることもできないので、嫌悪感があるような場合には、一定の別居期間ののちであれば関係再構築が無理である、破綻しているという判断はされやすいでしょう。
不仲の中で夫か暴力までふるうように至ってしまった事案では、破綻については双方に責任があるとされて妻の精神的苦痛が夫より大きいとしたいう判断がされたものもあります(宇都宮地裁 昭和62年5月25日)。
障害を与える暴行が1回だけでも離婚は認められます。今後の暴行を予想させるからです。
暴力をふるった夫が有責性があることから離婚請求が認められないことがありますが、必ずそうとも限りません。
破綻しているのが事実であれば、離婚請求を否定しなければならないほどに非難されるべきものではないと認容する場合もあります。
主婦で全く家事をせず家がゴミだらけで注意しても変わらないというような場合もそうなるでしょう。
勤労意欲がなくて、無計画で怠惰な生活態度を変えようとせず犯罪を行って、妻子と別れて生活をせざるを得なくなったというような事案で、公表されている判例があります(新潟地裁 昭和12年8月30日)。
生活能力がないまま怠惰な生活をずっとする夫に、妻が愛情を喪失したということで、5号の離婚が認められている場合もあります(東京高裁 昭和59年5月30日)。
配偶者の怠惰な生活態度(生活費を入れない、家事をしないなど)が理由で離婚したい場合には、まずは注意し、キチンと相手の変化を促していくこと、その証拠とその後の別居期間がある程度あることが重要になってくるかと思われます。
もっとも、夫婦関係が悪くなると親族に悪口を言ってしまうので親族との関係も悪くなることもあるでしょう。
このような理由で5号の離婚原因が認められるかですが、それだけでは困難でしょう。
配偶者の親族があれをした、これをしたということで、そればかり説明して離婚原因にしたいという方もいますが、夫婦の関係なので夫婦の関係としてとらえて、お互いのどういう行動が夫婦の関係を破綻させたのか、整理していく必要があると思われます。
親族との関係を改善してほしいといっているのに無視して聞いてくれないとか、思いやりのない行動を取るとか、そういうことが重なれば5号の原因になる可能性もあります。
伝統的に多いのは、妻と姑、妻と夫の親族間の問題ですが、最近は夫と妻の両親の問題が増えています。
夫からの離婚請求では傾向として破綻を認めていない事案が判例では多いようです。夫が努力を尽くしていれば、良好な婚姻関係を取り戻しうるという理由で棄却されています(東京高裁 昭和60年12月24日)。
本来別居期間が長ければ離婚請求は認められやすい事案でも、このような理由で棄却になることもあります。別居期間にどのような行動をとるかということも、重要になってくるといえると思います。別居期間に話し合いを調停でしようとしたとか、そのような努力があれば後々の判断も変わってくるでしょう。
たとえば、夫が睾丸を切除し、担当医師は、生殖能力はないがセックスには支障がないと説明しており、約1年半の同居期間において全く性行為が皆無であったという事案では、妻からの離婚請求は5号により認められています(最高裁 昭和37年2月6日)。
結婚するときセックスができないことを秘密にし、3年半の同居期間中全く性交渉がなかったという事案では、婚姻が男女の精神的肉体的結合であるから、性関係の重要性に鑑みれば、 病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意があるような事情がないなら、長年にわたり性交渉がないことが「婚姻を継続し難い重大な事由」になるという判断がされている事案もあります(京都地裁 昭和62年5月12日)。
妻がセックスを拒否し続け、医師にセックスが精神的に耐えられないと診断されている事案でも、夫からの離婚請求が認められています(岡山地裁 平成3年3月29日)。
セックス拒否は立証が難しい面がありますが、長年の拒否であれば離婚原因になります。
特に婚姻前に病気などを告げなかった場合、信義則に反する行為として離婚が認められる傾向があります。
同性愛による不貞は不貞とされない可能性がありますが、5号により離婚できますし、立証ができれば慰謝料請求も可能です。
その場合、別居や家庭内別居の有無とその期間、夫婦の会話の有無、性的関係の有無、口論やけんかの有無、感情、修復の意思やそのための行動、未成熟子がいるかとかその子らとの親の関係、子の離婚についての意見などの総合判断で「破綻が回復の見込みがない程度であるか」が、判断されます。
子との関係では、子を監護中の配偶者に対する請求は子が小さいほど認められにくい傾向があります。
また、5号だけが適用されずに、1号から4号までの離婚事由とあわせて破綻が認定されることも多いです。
10-14-1 認容された事案(離婚ができた事案)の例
妻が活発で夫と気持ちが通じあうことのない生活が耐えられないため、夫を見るのも嫌という状態になり、夫は真面目だがやや柔軟性を欠いて感受性の鋭い妻に対して度量のある対応を取れず妻の話に耳を傾けようとする姿勢はみられなかったという事案で、妻の請求が認められています(横浜地裁 昭和59年7月30日)。
夫が妻に対して家計や貯蓄方法を細かく要求したことなどから、妻が夫に対する愛情を喪失して別居3年強、子が5歳という事案では、夫が離婚をしたくないとしていましたが、夫が具体的な修復方法を示していないということもあって、 妻からの離婚請求を認めています(大阪地裁 平成4年8月31日)。
家庭内別居が認められて離婚が認められた判例としては、大阪地裁 平成14年6月19日の判決があり、これは妻が夫の経済観念に不満を持って夫をなじることが多く夫は飲酒の勢いで暴力をふるうこともあって、子の前でもけんかをして、同居しているが連絡をノートでとりあい家庭内別居4年であった事案で、夫から離婚請求が認められています。双方に問題があるとされた事案です。
10-14-2 棄却された例
破綻しているかの判断が微妙であり、棄却された例もあります。
別居3年で婚姻30年という婚姻が比較的長い事案で子らは成人していた事案ですが、夫が仕事一筋でまじめ、家庭を顧みることが少なく社会性や柔炊性がなく几帳面で口やかましく、財産は自分個人のものと考えがちで、家族をどなったり暴力をふるったりもしていた事案で、「婚姻関係はこれを継続することが困難な事情」であるとしましたが、夫が反省すべき点を充分反省すれば妻との婚姻生活の継続が可能だとされて、夫に対して最後の機会を与えるため、「見つからなかった青い鳥を身近に探すべく、じっくり腰を据えて真剣に気長に話し合う」ことがよいということで離婚を認めませんでした(名古屋地裁 平成3年9月20日)。
これは、もう少し話し合ってみればなんとかなるかもしれないというような事案の場合ですが、この後何年かしても変化がなければ認容になるという事案でしょう。
また、会社人間で妻に対する思いやりに欠ける面などがある夫でも、婚姻の維続を強く望む事案では、別居が3年以上であっても、婚姻関係が長いことか完全に破綻しているとまで認めるのは相当でないとするような事案もあります(東京高裁 平成13年1月18日)。
ご自分はどうしたいのかをはっきりさせましょう。
離婚を切り出されてパニックされている方は、自分の心を見つめたり未来を考えたりする余裕がないようです。離婚なんて認められないでしょ?あまりに勝手です!という気持ちでいっぱいにならず、残りの自分の人生をどう生きたいのか、見つめてみましょう。
我が国では、有責配偶者であると離婚請求が長期間認められません。
日本の民法も基本は破綻主義なのですが、有責配偶者となると長期の別居を経ないと判決で離婚できません。調停などで誠実に話し合って謝罪することで円満に離婚できることは多いので、そういう試みがよいかとおもいます。
性格の不一致でも離婚原因となることがあります。
日本では離婚なんて簡単に認められないという信念を持っている方が結構いますが、そうでもありません。互いに仲が悪く、やり直す気持ちが互いになければ破綻していると認定されてしまって、離婚原因は認められてしまいます。言動に気を付けましょう。
専業主婦であるのに決まった役割分担としての家事をしないのは、理由になるが立証困難と思われます。
妻が「家事はやっていたが何をやっても文句を言われて、私も怖くてあまりできなくなりました」などという反論があることが予想されます。そうなると本当は何があったのかわからないため原告である夫が負けるということになります。まず、離婚調停を申し立て妻の言い分をきちんと理解してみましょう。
あなたが納得できるかは離婚原因とは関係がありません。
離婚というのは簡単に認められないと思って、納得できないのに離婚請求が認められるわけがないと信じている相談者がときどきおられますが、確定判決で離婚が認容されると離婚は成立してしまいます。離婚原因があれば認められますので離婚原因を理解しておいた方がよいでしょう。
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