離婚の手続き

離婚したい方、離婚したくない方、いずれもが知っておくべき離婚手続き

離婚というのはニュースにもよく出てくる言葉。離婚したら慰謝料を払ったりもらったりするとか、離婚したら親権は母が持つことが多いとか、何となく皆さんが知っていることはたくさんあるでしょう。でも、婚姻していることの効果がなくなるというのが離婚、つまり婚姻の終わりであり、それって、民法に書いてあることは知らないですよね?ここでは離婚したい、離婚したくない、迷っている方が知っておくべき手続きについて説明します。

よくあるご相談内容例

  • いきなり離婚を切り出されてしまって、どうしてよいかわかりません。
  • 妻(夫)とは共有できるものがなく、子どもが成人したので離婚したい・・・
  • 子供が小さいので離婚するべきか悩んでいますが、一緒にいるのが辛い・・

Advantage | 離婚手続きにおける東京ジェイ法律事務所の強み

Advantage.01

離婚について決断をするとき、離婚という法律制度を知る必要があります。

結婚も離婚も、民法の制度です。そしてそれを実現するには手続法(家事事件手続法とか人事訴訟法です。)に従う必要があります。離婚について漠然と考えていても、貴方は先に進むことはできません。離婚について正確に知ること、自分の決断のために必要な法律的な情報を得ること、これが必要なのです。離婚を拒否する方も同様に正確な知識が必要です。そのお手伝いを経験豊富な弁護士がいたします。

Advantage.02

離婚について決断をするとき、「自分で決めること」が大事です。

離婚についての法制度を正確に知ること、これだけでは、離婚について自分で決めることはできません。自分の感情・気持ち、これを大事にすることも同じくらい大事です。お子さんがいれば、離婚に巻き込まれた「お子さんの気持ち」も大事ですね。だから、民事訴訟のように勝てばよいというものではないのです。人生での大きな苦しい決断は、自分でしましょう。そのお手伝いを当事務所ではしたいと思っています。

依頼者様との5つのお約束
  • Promise.01 気持ちを大事に
  • Promise.02 不利なこともお伝えします
  • Promise.03 離婚に関する法律実務
  • Promise.04 決断のサポート
  • Promise.05 お子さんの気持ちも考えて

About | 離婚が成立するまでの手続きについて

1 離婚する5つの方法

離婚の方法には詳しく言うと以下の5種類があります。

① 協議離婚(民法763条)
② 調停離婚(家事事件手続法244条)
③ 審判離婚(家事事件手続法284条)
④ 和解・認諾離婚(人事訴訟法37条1項)
⑤ 裁判離婚(民法770条)

大まかにいうと、全体の離婚のうち、協議識離婚が9割くらい、調停離婚が1割弱くらいで、裁判離婚は1%程度くらいです。認諾離婚というのは、裁判になって離婚してよいと認諾する離婚です。審判は、審判による離婚ですが、国際離婚など特別な事情があるような場合に用いられます。

和解離婚は、裁判離婚のうちのかなりであると思われますが、これは、離婚の裁判が始まってから和解するという場合で、子どもがいて親権紛争になっているような場合とか、財産分与の計算や方法にいろいろ問題があり、代理人が介入し解決を模索した場合多いように思われます。

厚生労働省が戦後50年について、離婚の状況に関して、統計をつかって説明していますので、よろしかったら参考にされてください。

https://www.mhlw.go.jp/www1/toukei/rikon_8/rikon1.html

2 協議離婚

2-1 協議離婚手続

日本では協議離婚が可能ですので、離婚調停を申し立てないで、話し合いで離婚して離婚届けを提出することで離婚はできます。この場合の手続きは、通常、当事者で話し合って合意したうえで離婚届を提出すれば離婚は成立しますが、慰謝料、財産、子の養育費、面会交流について話し合いをする必要があるでしょう。

もちろん、子がいなくて財産分与も慰謝料もなにも当事者がいらないと思えば、離婚届けだけで離婚ができます。わが国では、このような場合には大変に簡単に離婚ができるシステムとなっています。これは世界的にも珍しい制度です。

2-2 具体的な協議離婚の方法

協議離婚をするには、離婚届を市区町村の戸籍係に署名した届を出すだけで離婚できます。とても簡単な手続きです。しかし、これって世界的にはまれな制度なのです。だからこそ、いろいろな問題もあるのです。

戸籍係は実際に二人が離婚する意思があるのかというようなことは確認しませんので、署名とか記載事項が「形式的要件」が整っていたら、離婚届が受理されてしまうのです!!

「えっ、サインを勝手にされても受理されてしまうの?」と思いますよね。そうなのです。勝手にサインをして出すことができるのです。

実際、勝手に離婚届を出されて困っているという相談はあります。ですので、その危険がある場合には、受理されないようにしておきましょう。離婚届の不受理を申し出ておけば受理されません!

2-3 離婚届けの不受理の方法

① 勝手に離婚の届出を出されても受理しないでくださいと、不受理申出書を本籍地または住んでいる市役所等の戸藉係に届け出る
② 届出がされたときは、戸籍係が本人かどうかの確認をし、確認できなければ届出を受理しない
③ 戸籍係は本人以外からの届出があった場合不受理申出をしていた本人に通知という流れです。

この不受理申出は、自分で取下げるか自分で離婚届出をするまで続いて、有効です。離婚届を書いて渡しておいているような場合、相手が勝手に出すかもしれませんのですぐに対応したほうがよいです。

親権が父になっているような離婚届だけ受理しないでくださいというような条件付きの届は出せませんので、お気をつけ下さい。親権紛争になりそうなら、不受理届をだしておくのが安心ですね。

2-4 離婚協議書を作りたい場合

しかし、離婚において、例えば、マンションがあるとか高価な車、保有株、があるとか、夫婦の財産があるような場合、財産分与などをしないといけないことが多いでしょう。お子さんがいれば、これからお子さんの養育をどうするかについて決めておかないといけません。そういった決め事がなかなか二人でできない場合、どうしたらよいでしょう?

二人で話し合って決められない場合、弁護士に自分の代理人になってもらって、離婚協議をすることができます。この場合、裁判所に行く必要がないので、たとえば財産分与500万円を分割で三年以内に払ってもらうとか、慰謝料は300万円来月までに払ってもらうなどを離婚協議書に書いてお互いサインして押印すればよいことになります。これは、時間もかからなくて比較的簡単です。

しかし、デメリットがあります。離婚調停であれば調停調書を作るので、後で支払いがされないときに執行ができますが、離婚協議書ではそのまま執行ができません。

執行できるようにするには債務名義というものを作らないといけないのですが、離婚協議書を債務名義にするには、公正証書にする必要があります。代理人の弁護士がいれば公正証書にするアレンジもしてくれます。

もっとも、公正証書は手数料がかかりますし、離婚調停の方が、裁判所で協議もできますし複雑な内容の財産分与などが必要なら調停が望ましいでしょう。また、協議であれば相手がだだをこねるというか、いやだと言い続けてしまって、合理的内容でも協議書にサインしてくれないことは往々に起こりますので、かえって時間がかかることも多いでしょう。

代理人となる弁護士が離婚調停は時間がかかるからといってあまり積極的ではない場合でも、調停の方が結局は解決が早いことも多いですので、よく話し合ってみましょう。調停は拘束時間が長いため代理人弁護士が嫌ってしまう場合もあります。

3 離婚調停とは?

3-1 離婚調停は何のために行うのか?

さて、話し合っても離婚についてうまく合意できないという場合でも、離婚訴訟をいきなり提起することはできないので、その前に家庭裁判所で調停を申し立てないといけません。これを、調停前置主義といいます。(これは、家事事件手続法257条に書いてあるのです)。どうして、そうなっているのかというと、家庭に関しての紛争は互いに主張を戦わせる方法ではなくて、調停での話合いで解決するのがよいという考えが背景にあるからなのです。

調停というのは、当事者が申し立てることで始まる裁判所の手続で、相手方と裁判所で協議をして和解的な解決ができないかをさぐる場です。離婚の場合、夫婦関係調整調停という種類の家庭裁判所で行われるものになります。

東京家庭裁判所では、概ね6回程度までの調停期日で、調停をまとめようとしています。たくさんの方が離婚調停を利用していますので、協議がまとまらないまま、だらだらと1年も調停が続くことはほとんどありません。当事者がなんと考えていても、裁判所の方でこれで打ち切りますと宣言されてしまいます。

そもそも親権で対立したり、財産分与・慰謝料の額で大きく意見が異なるような場合、調停が成立しないことが多いです。

我が国は離婚すると単独親権しか認められていませんので、片方が親権を失うことから、お子さんが小さい場合まとまりにくい傾向があります。当事務所で多く扱っているお子さんの親権・面会交流などでも、大きくお二人の考えが乖離しているケースでは、離婚調停はなかなか成立しません。

財産分与だけが争点であれば、代理人がきちんと考えを示して裁判官の意見を聞きつつ進めれば、かなりの確率で合理的な離婚調停が実現しているように思えます。なお、調停がうまく成立しなくても、和解的解決は離婚裁判(離婚訴訟)になってしまってからも可能です。代理人弁護士がいる場合には、過半数は裁判手続きの中で和解をしているようです。これは和解離婚といいますが、和解日に離婚が成立します。

どうしても、戸籍に協議離婚という体裁をとりたいという当事者もいらっしゃいますので、調停離婚・和解離婚の場合、協議離婚による離婚をするという合意をすることもできます。

熟年で別居も長いとか、単身赴任が終わるが同居はお互いしたくないというような場合、離婚協議や調停以外に、先に離婚と年金分割をして、財産分与はゆっくり別の手続きで行う方法があります。どのような方法がよいか、検討して進めるべきでしょう。

そうすると、財産分与、慰謝料というような給付に関することは和解調書を作成して決めます。

3-2 離婚するには調停が必要なのか?いきなり離婚訴訟はできないのか?

3-2-1 まず調停をしてから離婚訴訟(離婚裁判)という流れ

離婚したいが協議離婚ができない場合、まずは、 家庭裁判所に調停の申立てをしなければなりません。
いきなり、離婚訴訟を提起しても、裁判所は職権でその事件を家事調停に付さなければならないとされているので、訴訟を開始できないのです(家事事件手続法257条2項)。

もっとも、例外があって、裁判所が事件を調停にすることが相当でないと考える場合には、違います。たとえば、相手方か行方不明で調停にこないことが明らかなようなとき、相手が海外にいるようなとき、などです。あまりに暴力的で調停実施が危険というような場合も例外になりえますね。

なお、いったん離婚調停を申し立てて、離婚調停が一度申し立てられて

いれば、取り下げによって終わっていても、通常は離婚訴訟は始められます。

3-2-2 ずっと前にしていた離婚調停は、どう扱われる?

離婚調停というのは、正式には「夫婦関係調整調停申立事件」と言われます。(離婚) というかっこ書きがつけられて、他の申立と区別しています。この離婚調停ですが何年も前に離婚調停が不成立で終了したような場合、どうでしょうか?

年数にもよりますし、経緯にもよりますが、いきなり提訴すると、裁判官が調停をするようにと指示することが多いでしょう。

3-2-3 離婚には合意しているのに、財産分与・慰謝料でまとまらないとき

離婚は合意しているけれど、財産分与について争いがあるような場合、離婚だけ調停で成立させる方法もありますし、年金分割についてだけ審判とすることもできますので、そのような複雑な事件では代理人弁護士と方針についてよく議論するのがよいでしょう。

3-2-4 相手が認知症で離婚調停ができないとき

とても相手が高齢で認知症の疑いがあるような場合どうしたらよいかという問題が、高齢化社会とともにでてきています。そういうときでも、離婚では、成年後見人とか保佐人、補助人が付いているような方でも意思能力があれば、手続きは本人が行うことができますので、そのために離婚ができないということはありません。

高齢の相手(妻とか夫)が認知症で、そんな相手を捨てて離婚はできないのではないかという恐れをもっている方もいますが、それで離婚が認められないということはありません。離婚原因が認められれば離婚できます。夫の暴力とか不貞などです。

高齢化とともに、高齢になってから思い切って離婚したいという考えになる人もいます。せめて最期のときまでは、気の合うひとと寄り添って生きていきたいとか、心の交流がないのに高齢になって一緒にいるのはきついということもあるでしょう。

相手が認知症でうまく話し合いができない場合には、裁判官が職権で弁護士を手続代理人にすることもできます(家事事件手続法23条、人事訴訟法13条)。

4 国際結婚の場合(国際離婚の場合)の離婚調停

外国人と結婚している国際結婚の場合の離婚や、国際離婚の場合、日本法が準拠法ではないことがあります。準拠法というのは、日本の法律でどういう場合にどの国の法律に従って、離婚できるかを決めるかという問題です。

気を付けることは、カリフォルニアではこの夫婦はカリフォルニア州法が準拠法で離婚できるとされても、日本にきて日本の裁判所では、この夫婦は国際結婚でフランス人の夫婦なのでフランス法が準拠法とされたり、この夫婦は夫が日本人なので日本法が準拠法とされるということがあるということです。

あくまでも、日本の国際私法によって、「日本で裁判所が扱う離婚についての準拠法はきまる」ですので、準拠法の問題に詳しい国際離婚を専門に扱う弁護士に依頼する必要があるのです。また、日本で協議離婚をしても海外で離婚とみなされない可能性があります。
そういう意味でも、国際離婚の離婚時には専門的な弁護士に相談が必要です。

5 審判離婚の場合

審判で離婚できる場合は、例外的にあります。

5-1 調停に代わる審判による審判離婚

二人が離婚することには同意していても、養育費などの別の問題でわずかな意見の相違があって離婚調停が成立しないような場合に、訴訟をしなければならないというのも不合理であるし、訴訟が増えてしまって不経済であるというようなことから、家庭裁判所が双方の衡平を考えて、いろいろな事情を考慮して 審判をすることができるという条文があります。

条文は、家事事件手続法284条1項です。

家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

これを「調停に代わる審判」といっています。

このような審判はあくまでも裁判官がその判断で審判を出すのですが、当事者が不服であれば「そんなのには従いません」ということができます。

このとき、2週間以内に異議の申し立てをすることで不服を示します。

そうすると「調停に代わる審判」は出されたのに、その効力を失ってしまいますので、なかったのと同じになります。そのため、離婚で調停に代わる審判が出されることはあまり多くはありません。どうせ出しても、当事者が反対すれば効力がなくなるからです。

しかし、国際離婚の場合には、調停離婚または審判による離婚が望ましいことがありますので、そういった場合には利用されることがあります。

この審判は、異議が出されなければそれは確定判決と同じ効力をもちます(家事事件手続法第287条)。

5-2  審判離婚の事例

離婚および親権者の指定については合意できたけれど、財産分与については争いがあるような場合に、審判で「離婚親権者の指定」「財産分与として金300万円を4年間にわたり5回の分割で支払うこと」を命じたというような事案もあります(東京家裁 昭和42年9月4日)。

夫がアルコール中毒で入院中のため出頭できなかったが、最終調停期日には、離婚と財産分与には異議はないと明確に意思を明示していた事案で、離婚と財産分与が命じられていますが、これは妻と夫が離婚したいことが明確で審判に対する異議が出る可能性が低かったものと思われます(福島家裁 郡山支部 昭和48年10月18日)。もっとも、珍しい事例でしょう。

妻が、離婚を申し立て、同居期間は約5年にすぎないのに約25年別居していた事案で、別居中に夫から妻子の生活費等の支援もなく、夫が不当に調停には不出頭であった事案では、家庭裁判所調査官の調査期日の呼出しにも複数回の自宅訪問も無視していた事案では、誠実に離婚の話合いに応じようとしなかったという事情から、審判で離婚が命じられた事案も、比較的最近にあります(福井家裁 平成21年10月7日) 。

配偶者の一方が調停に出頭できないが、離婚したいことは明確であったり破綻の証拠が明らかにあり、財産分与についても主張が望んでいなかったり、調停で証拠が明らかになっていれば、審判で離婚が命じられることはありえるでしょう。もっとも、出頭しないことで主張の全体がわからないことが多く、財産分与を求める申立人がいる場合、調停は不成立で終わるのが通常です。

もっとも、破綻が明確なのに離婚に誠実に応じない相手がいる場合には、このように簡易に審判で離婚決定をもらう可能性もあるといえます。

6 離婚裁判による判決離婚

6-1 離婚訴訟(離婚裁判)では、どうやって離婚できるのか? 

法定の離婚原因(民法770条)が認められる場合に、離婚が認容されます。

離婚原因は770条に明記されていますが、どういうときに離婚原因となるかというのは事案によって異なりますし、担当裁判官の判断によって異なることもありえます。

6-2 離婚裁判(離婚訴訟)は、どこの裁判所でできるか?(離婚裁判・離婚訴訟の裁判管轄はどこか?)

離婚裁判の土地管轄は、「当事者が普通裁判籍を有する地」となっています。ですので、原告または被告の住所地の家庭裁判所に管轄があります。

ここで重要なのが合意管轄が認められないということです。離婚調停では当事者の代理人事務所の住所地がいずれも千代田区であったので、東京家庭裁判所で管轄の合意をして調停を行ったという場合でも、離婚裁判では原告か被告の住所地で裁判を行うことになります。

通常は、管轄裁判所は、原告か被告の住所地の近くの家庭裁判所ということになりますが、住所がないときとか住所がわからないときは「居所」が基準になり、 居所もわからなければ「最後の住所」によって管轄が決まります。

それでも、管轄裁判所が定まらないときには、最高裁判所規則によって「東京都干代田区」となりますので、東京家庭裁判所が管轄裁判所になります。

6-3 離婚裁判(離婚訴訟)に関連する「住所」とは?

管轄を決めるときの「住所」というのは、生活の本拠地です。住民票上の住所を言うのではありません。

民法22条は「各人の生活の本拠をその者の住所とする。」としているからです。

しかし、移送という制度があるので、家庭裁判所は、当事者や尋問を受けるぺき証人の住所その他の事惜を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避けるためとか、当事者間の衡平のために、申立てによりまたは職権で他の管轄裁判所に移すことができます(人事訴訟法7条)。そして、未成年の子がいるときは、その子の住所または居所を考慮するようになっています。ですので、小さい子がいる場合には、移送で子の住所地の裁判所が離婚の管轄裁判所になることもあります。

管轄の移送を当事者が求めたとき、被告の応訴の負担や証拠収集等の便宜が考慮されますが、子の住所地はとても重視されるようです。

6-4 離婚裁判に関する判例(管轄に関してのもの)の紹介

管轄がどこになるかは、訴訟の当事者に大きな問題なので、裁判例を少しご紹介しますね。

夫婦が住んでいた場所で調停が行われている最中に、東京に住所を妻が移した事案では、東京で妻が離婚訴訟を提起したので、妻の住むしかも調停裁判所である東京に移送しています。

これは、浜松支部で夫が申し立てた離婚調停中に妻が未成年の子を連れて一方的に東京に移転して、別居して3か月して夫が浜松で離婚訴訟を提起した事案で、妻が自分と子が住む東京家裁への移送を求めたという事案です。

東京高裁は、移送を認めると、未成年子を実力で他の住所に伴うという事態を容認することになりかねないので相当ではないとして、移送を許していません。東京高裁 平成17年12月9日の却下決定ですが、その理由はなかなかよく考えられていますので、以下で引用します。

「相手方の一方的な別居の僅か3か月後に提起された本件訴訟においては未成年である長男の居所は東京都X区にあるとしても,その住所は未だ静岡県Y市にあると解することができる。また,仮にその住所が既に東京都△△区にあると解した場合でも,上記別居の状況等に照らすと,長男についての親権者の決定のために抗告人の居住状況を調査すべきことも考えられ,人事訴訟法7条により本件訴訟を東京家庭裁判所に移送することは相当でないというべきである。このような事案において移送を認めることは,同法31条を根拠として同法7条の適用を求めるため特段の事情もないのに未成年者を実力で他の住所に伴うという事態を容認することにもなりかねず,相当でないからである。なお,相手方の主張によれば,現在3歳の長男は保育園に通っていて東京の生活に慣れつつあるというのであるが,そのことは,上記判断を左右するものではない。」

子がいる場所が勝手な連れ去りの結果そうなったのであれば、移送において子の住所地を特に重視しないということのように見えますね。いろいろバランスを考えて丁寧に論じています。

6-5 例外的にそのままの裁判所が離婚裁判(離婚訴訟)をしてくれる場合(自庁処理)

家庭裁判所は 本来は管轄がない場合でも、その事件の前の調停がその家庭裁判所で係属した場合には、いろいろな事情を考慮して特に必要があると認めるときは、申立てまたは職権で「自庁処理」というものができます。つまり、そのまま調停を行った裁判所で離婚裁判を行えるのです(人事訴訟法6条)。

これは、例外的場合なので、これが認められないときには、移送といって管轄のある裁判所に移動させられてしまいます。

なお、関連する条文は以下のようになっています

民事事訴訟法16条1項

裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する

人事訴訟法6条

家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法第257条第1項の規定により申し立てられた調停に係る事件がその家庭裁判所に係属していたときであって、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、民事訴訟法第16条第1項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

このような条文があるので、裁判所は自庁処理をするべきかを検討して判断するのです。

6-6 離婚裁判(離婚訴訟)で決めなければいけないこと(附帯処分)

離婚裁判では、離婚以外に一緒に決めてもらえることがあります。(申立てがある場合だけ対象となる事件であって、これを附帯処分と言います。)

もっとも、親権者の指定は必ず同時になされなくてはならず、後で親権だけを決めたいということはできません。

申立てがあれば、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分(面会交流など)も申し立てられます。また、財産分与や年金分割についての申し立てもできます。

通常、妻が財産分与をもらえるような場合、離婚訴訟において附帯処分として財産分与を申し立てます。離婚をしたくないけど、離婚が認められてしまうのなら財産分与がほしいという場合には、予備的に財産分与を申し立てるということをします。

婚姻費用は、離婚裁判とは別の手続きで申し立てなければなりません。でも、過去の婚姻費用については財産分与の一時事情となることが判例で認められています。ですので、ずいぶん前のことでも別居していた時きちんと婚姻費用をもらっていなければ、弁護士に説明して離婚裁判でもらえるようにしましょう。

6-7 離婚訴裁判(離婚訴訟)と慰謝料請求との関係

「離婚訴訟の請求原因である事実によって生じた損害賠償」については離婚裁判において同時に請求できます。

これが一般に皆さんが知っている離婚における慰謝料です。

この慰謝料は地方裁判所や簡易裁判所に通常の訴訟として提訴することもできます。

こういう慰謝料請求は、離婚原因となった暴力行為による損害賠償とか、不貞行為に対する慰謝料請求、不貞の相手方に対する慰謝料請求、離婚原因となった不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に関する賠償などがありえます。

離婚する前の不法行為であっても、夫婦が破綻した後の不法行為による損害賠償は、離婚原因である事実によった損害損賠ではないということになるでしょう。

6-8 特有財産の引渡請求は認められるのか

昔の人事訴訟手続法では、自宅においてある衣類や装身具、ピアノなどの引渡請求が認められていました。しかし、現在の人事訴訟法17 では、そのような引き渡しは認められません。

そうするとどうなるかですが、自宅においてあるピアノなど、妻が欲しいような場合には、それを金額で評価して財産分与のうちピアノだけは妻がほしいということを明確にして理由を示しておくとか、先にそれについては当事者で引き渡しをすませておくなどという工夫が必要でしょう。(評価額を合意しておけばそれについては、妻名義の資産として財産一覧表に整理することができます)。

6-9 附帯部分の控訴

離婚認容の判決に不服がなくても、親権者の指定とか監護に関する処分(面会交流など)、財産分与について不服がある場合、不服部分だけ控訴することはできます。

でも、この場合、離婚は成立せずに、離婚も未確定になってしまいます。

いきなり夫(妻)が離婚したいと言い出して、どう考えたらよいかわかりません。

夫(妻)がなぜ離婚したいといっているのか理解し、自分はどうしたいのかをはっきりさせましょう。

離婚を切り出されたけれど離婚したくないというご相談は多いです。しかし、不思議なことに「離婚したくない」という方が相手の悪口をたくさん言うのです(笑)経済面・感情面といったいろいろなことがあって混乱している方が多いようです。法律相談では相談者が考えを整理するための専門的アドバイスをします。無料相談にいらしてください。

熟年になっていますが妻(夫)とはわかりあえるところがなく、老後一緒にいると考えると精神的におかしくなりそうです。こんな私ですが、離婚できるでしょうか?

我が国は破綻主義をとっているので、基本的には離婚したい方は離婚ができます

先進国のほとんどは夫婦関係が破たんしたら離婚を認めるという破綻主義をとっており、日本の民法も基本は破綻主義です。そのため、有責配偶者といわれるタイプにならなければ、破綻していれば離婚が認められます。

私は離婚したくないのに、いきなり子どもと妻が家を出てしまいました!

お子さんを取り戻したいとか、話し合いたいなら家庭裁判所に申し立てをしましょう。

日本は離婚すると親権をもてるのが一人であるため子どもの奪い合いが激化しやすいといえます。そのため、夫婦での話合いがしにくくなっていますが裁判所には話し合いの場があります。時間がたつと子供の問題は不利になるので、申し立ては迅速にするべきです。

夫がいきなり実家に子どもを連れていき、帰ってこないまま「離婚する」と言っています!

迅速に家庭裁判所に適切な申立てをしましょう。

いきなりで驚かれたようですが、事案としては少なくありません。日本では、親権争いが激化しやすい制度になっているため男女ともに先手を打つという戦略をとることがあります。お子さんは巻き込まれて大変です。迅速に裁判所に申し立てをして司法の場で冷静に話し合うことをお薦めします。

我々夫婦はお互いに、離婚には合意したのですが、保有の自宅がありそれについて話がまとまりません。

離婚してから財産分与だけ協議する方法があります。

熟年で別居も長いとか、単身赴任が終わるが同居はお互いしたくないというような場合、離婚協議や調停以外に、先に離婚と年金分割をして、財産分与はゆっくり別の手続きで行う方法があります。どのような方法がよいか、検討して進めるべきでしょう。