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【離婚原因の法律相談】私が浮気をしたことから仲が悪くなったのですが,私からの離婚請求はできないのでしょうか?

【離婚原因の法律相談】私が浮気をしたことから仲が悪くなったのですが,私からの離婚請求はできないのでしょうか?

これは、古くから有責配偶者からの離婚請求ができるかの問題です。民法が破綻主義を取っている以上は、破綻していれば相手が浮気したからそうなった場合でも、その相手から離婚の請求ができるようにも条文上は思われます。その後の問題は慰謝料で解決すればよいからです。しかし、判例はそれを認めてきませんでした。

しかし、昭和62年の最高裁の有名な判例がそれまでと異なる判断をしました。一定の要件がそろえば、有責配偶者からの離婚請求も許される場合があるとしたのです。

この判例は、「①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、②その間に未成熟の子が存在しない場合には、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求で あるとの一事をもって許されないとすることはできない」といったのです。

欧米各国では、別居という事実があれば破綻の徴表として離婚原因が認められる方向に進んでいる中で、日本でも、社会の変化と伴に結婚観が変化したとして、最高裁判所が判例を変更したのです。

それ以降、有責配偶者からでも離婚の請求が認められることがあるようになりました。
・別居期間の長さ
・未成年の子がいるか
・離婚によって他方の配偶者が過酷な状況に置かれるかなど
を総合的に考慮して判断されています。

別居期間

昭和62年の判例では、36年非常に長い期間の別居でした。その後、15年程度の別居であれば、離婚が認められやすいようになっているようです。別居期間が10年より短いと、ケースバイケースという感じです。ただ、別居の期間のみで離婚原因をみとめられるわけではないので、財産分与の額が多いなど他の条件によっては7、8年程度でも認められる場合もあります。

未成年の子

離婚によって子の家庭的・精神的・経済的状況がどれだけ悪化するか、親の監護がなくなった場合にどうか、子どものたちばから見て実質的な考慮がされます。未成年の子がいる場合の有責配偶者からの離婚請求は非常に難しいでしょう。養育費の金額などかなり経済的に補える点がないと認められないかと思います。

離婚後の相手方の状況

離婚により相手方が「経済的」に過酷な状態に置かれるかが問題にされます。財産分与や養育費にかんがみて、本人の経済的基盤も不安定で、離婚により生活が困窮するようなときには、経済的に過酷な状態におかれるからという理由で、有責配偶者からの離婚が認められない可能性が高いです。

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