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【国際離婚の法律相談】夫(または妻)が、留学したいと海外に行き、そのまま勝手に海外で離婚を進めています。このまま手続きが進んで、外国で離婚が認められてしまうと、どうなるのでしょうか?

【国際離婚の法律相談】夫(または妻)が、留学したいと海外に行き、そのまま勝手に海外で離婚を進めています。このまま手続きが進んで、外国で離婚が認められてしまうと、どうなるのでしょうか?

これは外国の判決が日本で有効なものと認められるかという問題です。
ある国の裁判所が下した判決が、日本国内でも有効な判決としての効力をもつのかということですね。

法律的には、「外国判決の承認の問題」といわれています。
民事訴訟法では、118条で要件を決めています。

要件1 
その外国の裁判所に裁判権が認められること
要件2
敗訴した被告が、公示送達ではない方法で、訴訟の開始に必要な送達を受けるか、又は応訴(裁判に被告として言って主張をしたことといいます。)したこと
要件3
判決の内容及び訴訟手続が日本の公序良俗に反しないこと
要件4
相互の保証のあること (互いの国が互いの国の判決を認め合っているかということですが、離婚訴訟では、要件として不要という考えもあり、あまり問題になりません。)

この中でもっともよく問題になるのか要件1ですし、質問についてもここが関係するので、説明します。

日本で外国判決を承認するかは、日本法から見て、その国に「国際的な裁判権があること」が認められることを必要としているのです。簡単に言うと、もし同じようなことが日本であって日本法で日本にその裁判管轄はあるのか、考えてみて、あるのであれば、OKというわけです。

日本では、判例で離婚についての国際裁判管轄は原則として被告の住所地に管轄を認めています。ただ、平成8年の最高裁判例で、「被告が日本に住所を有する場合のほか、原告の住所その他の要素から離婚請求と日本との関連性が認められ、日本に肯定すべき場合があるとしており、被告が日本に住居を有していなくても、当事者の公平とか裁判の適正・迅速などの点から条理(正義とか公平というような意味と考えていただいてけっこうでしょう。)によって決めるとしています。応訴を余儀なくされる被告の不利益、原告が被告の住所地国に離婚訴訟を提起することの障害があるかが判断されます。

この質問の場合、相手の夫(妻)は、勝手に海外に行って海外で離婚訴訟をはじめており、被告は日本にいるというわけです。日本において同様なことがあれば(ドイツ人夫婦の一方がドイツから日本にやってきて、日本で離婚訴訟を始めているような場合)日本の裁判所は国際裁判管轄を認めないでしょう。ですから、このケースではその海外に国際裁判管轄は認められず用件1がみたされないので、海外の判決について日本では効力がみとめられないはずです。

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