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【国際離婚の法律相談】私は、海外で結婚していたのですが、離婚がしたくて子供をつれて日本に戻ってきてしまっています。これは、何か問題がありますか?

【国際離婚の法律相談】私は、海外で結婚していたのですが、離婚がしたくて子供をつれて日本に戻ってきてしまっています。これは、何か問題がありますか?

日本の女性が子供を連れ帰ってきてしまうことは少なくなく、各国から批判があります。というのは、その国で家族生活をしていたのであるから、その国の制度で離婚をするべきという考えがあるからです。

「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)」は、この問題を解決するための条約であり、日本はまだ批准していませんが、批准することを検討しています。遡及効はないので、すでになされた行為についてこの条約で影響はないでしょう。
今の日本の法律では、このような場合に日本人が子どもを連れ帰ったことで罰されるという実務にはなっていません。しかし、海外の法律で誘拐罪などが適用され、連れ去った親が犯罪者とされることもあり、注意が必要です。

ハーグ条約についての基礎知識:
「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」は、欧米の80カ国以上の国が批准しています。夫婦の一方が子の親権、面会権などを確定していない状態で、子をその居住国から連れ出すことを違法とするものです。これは、その夫婦の住んでいた国の法律のもとで離婚後の子どもの親権等の問題はきちんと解決するべきであるという考えから成り立つものです。
この条約を締結した国では、連れ出された子どもをもとの国に戻す義務があります。
(例外規定はあります)。 日本は締約国でないので、日本に親とともに連れてこられた子について日本が子をもどす義務はありませんし、その親を罰するような実務もありません。そのため、子どもを連れ去られた外国人の配偶者にとっては非常に不満が強くなってしまいます。
外務省、法務両では、批准に向けた準備を進めていますが、実務的にはいろいろな対応が必要です。
DVなどで日本に戻る女性が多い中、そのような日本人をどう守るのかという観点から、DVの立証が難しく、安易にDV夫のもとに「子どもを返す」ということになるのではないか?という反対意見も強く実務家からよせられています。一方、ハーグ条約の批准は利益ももたらします。日本がハーグ条約に加盟していないことから、外国人の元夫が日本に子どもを一度行かせたら帰って来ないからと、母子の面会を拒否しているような例もあるからです。

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